まだロックが好き

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まだロックが好き

アラサーです。 ふだんはサラリーマンをしています。 元バンドマンです。 高校から一緒の妻と、2014年に生まれた息子がいます。 趣味でまだバンドをやったりしてます。 まだロックが好きです。 そんな日記です。ブログではありません。 日記です。

小谷美紗子の「うたき」はブルースと言って良いでしょう

 

曲が歌になるまでの過程には重要なファクターがあります。

 

そのファクターって歌詞のことなんですけどね。

 

歌詞をみなさんどれくらい意識してるのでしょうか。

僕は正直、歌詞にあまり意味を見出さないようにしているのです。

でも歌詞はとっても重要だ、とも思っています。

 

音楽ってジャンル分けされるじゃないですか。

ロックや、ジャズやクラシック、ポップス。

それを分けるのってやっぱり曲調ですよね。

 

どんなに反社会的なことパンクなことを歌っても、曲調がジャズならまずジャズに分類されます。

世間的にもやっぱり歌詞より曲調が優先されるのですね。

 

表題の小谷美紗子は日本のシンガーソングライターです。

ジャンルで言えばJポップと呼ばれる音楽をやっています。

 

でも彼女のサードアルバム「うたき」はその歌詞からしてブルースとしか言いようがないのです。

 

 

まず前提としてブルースがなにかを話さなければならないですね。

曲調的なことはおそらく想像されているヤツで間違いないです。

スリーコードで形成されている、短くて、簡単で、単調な音楽かもしれませんね。

 

ではそこで歌われる内容、歌の意味とはどういうものかご存知でしょうか。

 

ブルースとは人間賛歌です。

歌の歴史は諸説ありますが、伝承のためであったり、神への捧げものであったり、遊びであったり。

まぁそれは難しい話なのでパスしますが、歌としてブルースは日常的な、個人的な、内省的なことを歌うようになりました。

その表層的な外面は、カネのことや、悲恋のことや、死のことや様々ですが、一貫して根底にあるものはやるせなさです。

 

ちょっと話が長くなりそうなので小谷の話に移りたいと思います。

 

このアルバム「うたき」は そのやるせなさが存分に発揮されているのです。

 

1曲目の「真(君の真未来に捧げるうた)」から社会への不条理を投げかけてきます。

そんな君が怒りました 社会と名誉と利益に対して

君は仕事を辞めました 絆と人間と己の為に 

これが1番サビのフレーズなのですが、完全完璧ブルースです。

あたりさわりのない大人のずるがしこいやり方が大きな利益を生む昨今の年功序列の於ける理不尽さや狡猾さ。労働者の気持ちの代弁はブルースです。

 

資本主義やカネへの不条理を歌ったのが3曲目の「わたしを返して」です。

私は知った お金は現実的に

人を助けられる 武器なのか 武器なのさ

以降のくだりが大好きです。

もっとたくさんお金があればアイツをやっつけられたのに!!やっつけられたのに!!!!って曲です。 僕はこの曲が大好きです。

 

2曲目の「こんな風にして終わるもの」、5曲目の「オオカミ」、はこのアルバムにおける悲恋ソングです。あまり個人の恋の歌って好きじゃないのですが、小谷の言葉とメロディのフィルターを通したこれらの曲の芋クサさ(悪い意味じゃないよ)なら好きにならずにはいられないのです。

恋をしたらすべてがピンクにみえるし、君のママの次に君をしっているのは私であってほしいのです。乙女。

8曲目の「左手」もそうでしょう。恋の歌です。

向こうで向こうで幸せになれ

手の届かないバリアの中へ 早く

 歌詞にバリアを使う人を初めて見ました。というか久しぶりにバリアという言葉を聞きました。

 

4曲目の「火の川」はスゴイ曲としか言いようがないです。なんとも陳腐な言葉の羅列ですが本当に、これは一聴してほしいです。パンチが、情念がすごいです。

僕は最初聴いた時、恐怖を抱きました。歌詞とかではなくもう音楽、歌がすごいです。

 

現代の「なりたいものになれる時代が終わった世代」に聴いてほしいのは6曲目の「明日からではなく」です。

僕は教師です 就職先がなく なりたくもない教師になりました

という一節から始まるエチュードです。革命の歌です。1曲目とともにこのアルバムをブルースたらしめるものだと思っています。いい曲です。

 

7曲目の「母の日」という曲はなんとも言えないです。

死に行く意思を持った人へのメッセージなのか、その人に対しての「母の日」なのか。なんとも言えないです。なんとも言えないには2パターンの意味があると思いますが、無感想という意味では、ないです。なんというかズシンとくる曲です。

 

9曲目の「雲のように」だけはまぁ飛ばしてください、普通です。アルバムのバランス取りです。

 

ラストの「生けどりの花」もパンチがおります。だってそのタイトル「生けどりの花」からしてヤバイ。今まで花瓶に摘まれた花を生けどりと思ったことがなかった。そしてサビのメジャーで開ける感じがとても好きです。

 

小谷美紗子は「うたき」でブルースを歌っています。

曲調ではなく、歌詞の意味、意義、理由としてです。

 

メロディの耳障りの良さ、アレンジのシンプルさ、も相まって伝えたい言葉の意味が痛々しい程刺さるアルバムです。

 

僕はこのアルバムで小谷美紗子が好きになりました。

大変良いミュージシャンなので聴いてみて下さい。

 

最後に注意ですが、このアルバムを、沈んでいるときに暗い部屋で聴くと死にたくなるのでやめたほうがいいです。マジで。

 

うた き

うた き