まだロックが好き

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夢破れたサラリーマンがおめおめと生きている日記

人生スイッチという映画を見た感想

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喜怒哀楽という摩訶不思議がある。

それがひとの精神世界を支配している。しかしこの四つのくくりはいささか大雑把すぎるのでは、と所感をいだく。神は意外と杜撰である。

 

しかし、そのなかでも「怒」というのは異質ではなかろうか。なぜならば怒りは他のどの感情よりも前提として、他人に向かっていることがおおいからである。

 

「喜、哀、楽」は個で終息することが多い。もちろんそれらは波紋となって他者に伝播展開することもあるだろう。

しかし本然、これらは当事者のなかで咀嚼、嚥下、消化されるものだと思う。しかしこの「怒」だけは吐瀉するようなものである。しなければすっきりしない。

しかし、それを我慢して煮湯呑みするのが大人の感情のコントロールである。

 

実例を申し上げる。

先前、私は妻と諍いごとをおこした。私も妻も30年生きたのでそれなりにディスカッションで対応した。しかしこれ、少し感情のやりかたを間違えれば今後の人生に大きな変換をもたらすのである。

つまり離婚。息子は妻のもとへ。妻と息子は母子家庭となりて私のような捻転した心の持ち主になり荒くれる。いっぽうの私はせっかく購入した拙宅を売却。養育費の捻出に躍起になるあまり非合法な売買に手をだす。その成り行きで取引物に手をだし私の人生は瓦解。それぞれが孤独な最期を迎える。

てなことになりうるのである。

怒りで人生が狂う。怒りとは人生の転換のスイッチとなる。そんなことを思う映画であった。それが表題の「人生スイッチ」である。

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とても面白かった。「面白い」というフレーズもさまざまな意味に捉えられる。ゆえになんとも言いがたいのであるが、げらげら笑えるというよりは、興味深い・インタレストてな具合に面白かった。

 

6つの物語でなりたっている。そのひとつひとつはすべて独立したものである。すべての物語が、湧き出た感情に翻弄されるヒューマンドラマである。

 

1話目の「おかえし」からめちゃくちゃ面白かった。ショートですぱっとしていた。憎しみがテーマだった気がする。いいね、憎しみ。好きだよ。人間は負の感情のほうがピュアだと思う。嬉しいとか楽しいとかプラスの感情はいろんな色彩を放っている。だけど怒りや憎しみって単色な感じがする。すごく純然としている。ゆえにもっとも嘘がない。そう思う。

 

どの物語も腹黒くて、皮肉的で、嘲笑的であった。たぶんこの映画が好きなひとは性格が悪いと思う。観るひとを選ぶかもしれない。これがつまらない、という御仁もおられるかもしれない。しかし私はおもしろく感じた。私の性格は極悪なのかもしれない。「エンスト」という物語がとても好きだった。終わり方に作者の低劣な嗜好を見た。

 

反面教師にするべき映画である。そう思った。人生はいつなんどきどんなことで蹴躓くかわからない。ときには心に身体を預けてしまうのもありなのでは?なんて思わない映画であった。しかし、すべてが負に帰するわけでもなかった。

 

まったく事前情報を知らずに視聴したというのも幸いして面白かった。 たまにこういったふうに、なんの情報も持ってない映画をジャケで選んで観る。ひろった石がエメラルドの原石を含んでいたかのような宝物であることがある。少なくとも「人生スイッチ」という映画は、私にとって原石を含む貴重な映画だった。


『人生スイッチ』各話紹介特別映像