まだロックが好き

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夢破れたサラリーマンがおめおめと生きている日記

無神経な訣別 ~息子とトトロとパパとママ~

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今朝方。トトロがすごいと思った。トトロというのはスタジオジブリが作成したアニメーション映画「となりのトトロ」に出てくる魑魅魍魎のたぐいなのだが、それとない愛くるしさで人気を博してる。

じつを言うと私もこの映画の愛好者であって、というか私はスタジオジブリに妄信的な敬愛を抱いている。しかしそれは永劫につづくものではなく、部分的な切り取られた時間軸のなかで生きる限定的な趣向なのである。

実例を申し上げるならば「風の谷のナウシカ」含め、「天空の城ラピュタ」から「もののけ姫」と呼ばれる作品までを愛しているのである。ちなみに「千と千尋の神隠し」はあまり好きではなかった。なぜだろう。これが大人になるということなのだろうか。

そんなジブリ作品の幼少部を担う作品が「となりのトトロ」である。実は息子がこの「となりのトトロ」に嵌ったのだ。過日。帰宅すると勇んでやってきたのは妻である。妻は「ようた。トトロみてたよ。たいへんに熱を帯びていたよ」と言放ったのである。

息子ようたは2歳7ヶ月になろうとしている。そんな彼がトトロに熱中している。パパはうれしい。なぜなら寵愛するトトロを息子と一緒に視聴する期がついに到来したからである。

なぜトトロに熱中したのか、というとそれは保育園が原因であるようだ。保育園の玄関をあけ、土間をあがると壁掛けの時計がある。その時計がトトロをモチーフとしており、ある時間になるとトトロの音楽が鳴流するというからくりを設えてある逸品なのである。

その日。息子はどうしてもそのトトロの音楽が鳴流するところがみたかったそうなのだが、鳴流するのはいつも18時ジャストである。妻はすこしお迎えがおそくなってしまい時計の針は18時5分を示していた。なんたる不遇であろうか。いつも拝聴している18時ジャストのトトロミュージックを聴くことができない。

こんなにも不可逆的な時間の流れを呪ったことがあっただろうか。そして息子はいやいや期まっさかりなので親の進言などいっさい聞かぬ傍若無人。この四方逃げ場のない、やるかたない状況を、ああどうすれば巧く生きることができるのか、と妻は額ずいて悩みまくっていた。そのときである。

担任のヨーコ先生が「先刻、外出時にトトロのようなバケモノの影を見た。靴をはき外套を羽織り捜索してみてはどうだろうか」と息子に言ったのである。息子は目を輝かせて靴をはき外套を羽織り捜索に躍り出たのであった。トトロはすごい。そして保育士の手腕に天晴れとおもった。それが過日、夕である。

しかし私は冒頭、今朝方と記載している。畢竟、今朝方も息子はトトロに熱中していたのである。というのも保育園の時計を見据えて微動だにしなかったのだ。すでに保育園内にいるもののその身の引渡しは人から人へのものでなければならない。

困惑と憤懣と焦燥が入り混じった極彩色をはなっていたのは私の心である。このままでは会社に遅刻してしまう。遅刻するなんて、あれだ。やばい。なんておもっていた。そのときである。

ミキ先生がやってきて「トトロは8時にならぬと現れない。時節勘当となったらまた赴こう」と言ったのである。時刻は7時30分。まだ先のことである。息子はしょんぼりを決め込んでいやいやトトロと訣別した。

そして保育園内での身支度を済ませ、パパと訣別するときである。あれだけ見せたトトロへの執着はパパには見せなかった。あっさりであった。トトロはこってりなのに。私は悲しくなった。士気を高めようとトトロのテーマソング「さんぽ」を大きな声で歌って通勤した。すこし元気になった。やっぱりトトロはすごい。

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