まだロックが好き

まだロックが好き

おめおめと生きている日記

私の妻は松井秀喜

 

妻が毎年欠かさずにやっていることがある。

それが「歳をとる」ということなのだけれど、ついに31回連続して歳をとり、自身の最高記録を更新したのである。豪儀である。

 

そんな妻の誕生日は過日6月12日であった。ふたご座である。ちなみに同日誕生日を迎えた人類に松井秀喜というホモサピエンスがいる。ふたご座である。

 

松井秀喜というのはご存知であろうか。

彼は肉体労働者である。投擲された玉をスティックで打ったり、打ったかと思えばその玉を追求したりする。そんな多忙な競技、野球というものをしてお足をもらっている。主にそれは遊戯としてしている人口のほうが多く、そんな世相を思えば、あぁよい商売をしているなぁと感じる。

 

そんな彼を取り沙汰して「私の妻は松井秀喜」と書いた。

そんなばかな。なんと言っても松井秀喜は男性である。だから結婚できないはず。日本では同性婚は認められているのかいないのか。わからないけど私の妻は女性だし、じっさいリアルにまじなことを言えば妻は松井秀喜じゃない。そしておれは女が好きだ!

 

もしかして誕生日が一緒というだけで君は松井秀喜と奥さんを一緒くたにしたのかね?ふっ。欺瞞だね。と鼻で笑うにはまだ早い。

 

干支も一緒なのである。松井も妻も寅年なのである。松井秀喜は1974年生まれであり、妻は1986年生まれである。…12年の時を経て、今、運命が重なる…ッ!つって寅年のふたご座というだけでだいたいの星のめぐりは同じになる。

 

さらにふたりの数奇な運命は続く。血液型である。松井秀喜はO型で妻もO型なのである。こんなことってありますか?しかも妻は右投げ左打ち。背番号は55番。←なんの?

 

朝の情報番組でもっとも大事なニュースは「きょうの運勢」だったあの頃の僕ら。彼らの下す天啓にて一日のバイオリズムは支配される。

つまり「今日、もっともラッキーなのは…○○座のあなたです!」なんて言われた日には四六時中脳内でサンバのリズムが鳴っているし気分は常夏。心は開放的になってどんな現実もポジティブハッピーに受け止められるし、いつもより空が青い。

 

しかし逆もまたしかり。禍福は糾える縄の如し。善しきもあれば悪しきもあり。

 

「今日最も最悪な運勢は…ごめんなさ~い!…○○座のあなたですぅ~」といわれたらもう駄目になってしまう。見えない敵に怯え、聞こえるはずのない物の怪たちの囁く声が聞こえ、触れるものはすべて血まみれのぐじゃぐじゃであって、空の色もさまざまな色彩がブレンドされたマーブルなこげ茶色。まったくもって救済の余地がない。

 

しかし、それじゃあこの世を歩くことは難儀である。そこで人は開発した。「今日のラッキーアイテム」というシロモノである。このラッキーアイテムさえ携帯していればどんな陰惨たる状況も打破できるという破魔のアイテムなのである。

 

松井秀喜は世界規模で活躍するベースボールプレイヤーらしいが、そんな彼も破魔のアイテムがなければ今の地位を構築することは出来なかったのではないだろうか。

妻が朝の情報番組で天命を下されたとき、私の脳裏にはいつも松井秀喜がよぎる。「今日のラッキーアイテムは…純金のまつぼっくりです!」なんていわれた日には、松井秀喜もユニフォームの下に純金のまつぼっくりを隠蔽しているに違いない!と思うのである。

 

ゆえに私の妻は松井秀喜である。なんて無理やりな話であるが、じっさい占星術などの情報が入ると、自分と妻と息子への言及は見てしまうし、そうなると松井秀喜の運勢も知ってしまうのである。すこし呪いに近い感じになっている。

 

松井秀喜の運勢を意識し始めて13年の時が過ぎた。これから14年目である。おおきな病魔も怪我もなく、ついでに言えば金もなく、たくさんの不幸はあったが、そんな艱難辛苦を経ながらも「私は幸せだ」と言ってくれたことは忘れない。これからも幸せでいられるように、これからもずっとおなじ時をすごしたい。

エキストラ・イニングス 僕の野球論 (文春文庫)

エキストラ・イニングス 僕の野球論 (文春文庫)