まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

まどと林檎

 

Apples


まどと林檎の対立がある、そんな話を耳にした。

私はなんて愚かしいんだ、とおもった。

これらの二つは比べるようなものではない、とおもうからだ。

まども好きだし、林檎も好き。

そんな私の見解を陳述したいとおもう。

 

まず、まどである。

まどは、その膾炙の度合いが途轍もないとおもう。

なぜなら2歳9ヶ月の息子でも知っているからである。

 

やはり「ぞうさん」などがその代表作として知られる。

だれでも覚えている歌詞だと思う。

が、息子は「ドロップスのうた」が大好きである。

これは日本放送協会が放送する「おかあさんといっしょ」という番組で、たびたび取り上げられている。軽快なリズムにのって詰め込まれる語彙と、擬音のリフレインが2歳ならずとも30歳の胸も撃つ。

そして息子は頻繁にこの歌をうたっている。その発語感や節回しに愛嬌が仰山あり、見聞するたびにとても私の心を癒してくれる。

 

しかし個人的にまどの最高傑作は「やぎさんゆうびん」であると思う。

 

しろやぎさんから おてがみついた

くろやぎさんたら よまずにたべた

しかたがないから おてがみかいた

さっきのてがみの ごようじなあに

 

くろやぎさんから おてがみついた

しろやぎさんたら よまずにたべた

しかたがないから おてがみかいた

さっきのてがみの ごようじなあに

 

諧謔味にあふれている。

そしてやぎという動物の特性を活かした喜劇と悲劇の折衷が展開されている。

しかも、なんとこの歌。一生うたっていられるのである。

 

2番、しろやぎさんにお手紙が配送される。

そしてくろやぎさんにお手紙を書くところで音楽は鳴り止む。

しかしおそらく、くろやぎさんは、しろやぎさんの手紙をまた読まずに食べてしまうのである。

そしたらまた1番になって繰り返しじゃん!ってなって、ほんともう一生うたっていられるのである。

 

しかしこの曲には最大とも言える弱点がある。

1番がくろやぎさんからはじまるのか、しろやぎさんからはじまるのか。

それがわからなくなるのである。

だから個人的に出だしの覚え方を考案した。

「白黒つける」というフレーズを引用するのである。

すると「しろやぎさん」からだ、とリマインドできる。

覚えておくといいと思う。

まど・みちお全詩集<新訂版>

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いっぽうの林檎についても言及したい。

個人的に林檎のほうが好きだ。

私の青春時代に、というかこの平成の世で活躍しているからだ。

その歌詞の世界観は横溢する蟹行文字へのアンチテーゼだと思う。

 

一般的に林檎の名を知らしめたのは「無罪モラトリアム」というアルバムだと思う。

無罪モラトリアム

無罪モラトリアム

  • アーティスト: 椎名林檎,川村“キリスト"智康係長,森“グリッサンド"俊之本部長
  • 出版社/メーカー: EMI Records Japan
  • 発売日: 1999/02/24
  • メディア: CD
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シングルに「歌舞伎町の女王」や「ここでキスして。」などのヒット曲があるが、このアルバムでもっともロックファンをうならせたのは、やはり「丸の内サディスティック」ではないだろうか。

「リッケン」「マーシャル」「ラット」「ベンジー」「グレッチ」この語彙郡のクセの強さに林檎の嗜好性が表現されていると思う。

マーシャル以外の名詞の、有名だけどすごい使いづらいものの羅列感をキャッチーに流す飄逸味、それが後の林檎の文士への活動を促したのではないか、とでさえ思う。

 

林檎の文字へのセンスは図りきれない。

ここで四の五の言っても埒があかぬので「とにかくすげぇ」とだけ申し上げたい。

 

頃日。林檎の在籍していた楽団の「私生活」という曲がやばかった。

闇雲に労働の徒として生きる三十路のおっさんにはとても響いた。

不覚にも紅涙を絞ってしまうほどであった。

娯楽(バラエティ)

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まどと林檎の論争は絶えない。

そんなことを最近のネットの世界で拝見した。

しかし、私のまわりではそんな論争は毫もはっちゃくことがないのである。

 

上記のようにまどと林檎はともにすばらしい詩の世界を展開している。

まどは、主に世代を超越した童謡として。

林檎は、時代を作りあげ、現代の文化を底上げした大衆音楽として。

そこに通底するのは彼らが時代を作ったという文士、芸術家としてのこの国への、ニッポンへの貢献だと思う。

 

私は、彼らの作品に触れることのできる時代へ感謝したい。