まだロックが好き

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夢破れたサラリーマンがおめおめと生きている日記

ユーラシア大陸最強の男ジャッキー・チェン

 

頃日。アマゾンプライムビデオに酔拳2があったので観賞した。電光石火。2017年の液晶画面をもってしても彼の動作を目で追うことができなかった。やっぱりジャッキーはすげぇな、と思った。

 

中学生の時分。ひたすらジャッキーチェンの映画を観ていた。近隣のツタヤに行って、アクションの棚に櫛比するジャッキーチェンの主演作品を、片っ端からレンタルしていた。ツタヤのくたびれた青い樹脂性のマジックテープ式のバッグをビデオテープでパンパンにして、るんるん気分でビデオデッキにそれを飲み込ませた。

 

俺はたぶん恋をしていたんだと思う。それはジャッキーチェンにではない。いや、ジャッキーも好きだけど。笑顔がかわいい。ってゆうか、「強さ」という概念的なものに恋焦がれていた。いまでも最強になりたいと思っている。が、その鍛錬などを憂慮してしまい、めんどいからまぁいっか、と思っている。はらでてるぜ。

 

ジャッキーは強いだけではない。じつにコミカル。ジャッキーがカンフー映画を変えたと言われるのは、復讐や仇討ちが主流の仄暗い、そして瞋恚の焔を燃やすものだった主軸の物語にコメディ要素を練りこんだこと、なんていわれている。今でもかっこいいだけの男よりも、しゃべれる面白いやつがもてる。具眼の士だと思う。

 

ジャッキーはたぶん実戦でもかなり強い。シナリオがある虚構物とはいえ、あのスピードは人間の限界を超えている。おそらく拳そのものは軽いだろう。しかし、そこにスピードが組み込まれることにより二乗にも三乗にも破壊力は増す。ジャッキーなら二重の極みも体得できそう。ってかたぶんしてる。

 

しかし。ジャッキーの地位を脅かすアクションスターに俺は邂逅してしまった。

その名をジャン・クロード・ヴァン・ダムと言う。なんの映画だったかは忘れたが、ジャンクロードヴァンダムくそ強い。なによりコイツは蹴り技がやばい。あまり高くない上背から描かれる半円、その弧。それは途轍もない鋭さを一撃に秘めていた。

 

ジャッキーチェンの牙城が崩れ去ろうとした。なんてったって相手は筋骨隆々でめちゃくちゃタンクトップが似合う峻烈な眦の男。いっぽうのジャッキーはその体躯はモンゴロイドの枠をでない。まずいぞジャッキー! と思う間もなく、俺はジャンクロードヴァンダムの映画を観まくった。

 

ジャッキーとクロード(俺はそう呼ぶ)が闘ったら、どっちが強いのか? これは優劣を決めるもんだいではなかった。単純な、とても純然たる思い。それは好奇心だった。もちろんジャッキーは剽悍な男。屈強なクロードにもすばやさで立ち回ることができる。蹴り技? ふっ…そんなもの当たらなければそうということはないのだよ… そうおもっていた。しかし! クロードは銃のあつかいもうまい。これには困った。ポリスものをやっていて、さらにシティハンターもやっていたジャッキーだが、きっと彼はカンフーの蘊奥を極めるばかりで、銃火器のあつかいはからっきしだろう。がにまたでピストルを構えるジャッキーの姿が脳裏を掠めた。俺はあせった。このままではジャッキーが負けてしまう。そう、俺は心のどこかでジャッキーを信じていた。アジア人だって強いんだぞ、という願いにも似た期待をもっていたのかもしれない。銃は無し。そんなルールのもとでの戦いは糞だ。銃のあつかいでさえ、それは精錬された一種の格闘術。銃を含めた上でのミドルリーチの戦いでどちらが強いのか。これはクロードが勝ってしまうのでは…。

 

そんな懊悩を抱いていた少年の視界にとある映画がよぎった。「…沈黙の…戦艦…?」そこに映されたのは黒髪ポニーテール、人種のわからない顔立ちの、精悍な顔立ちの長身の男だった。名をスティーブン・セガールという。

 

ジャッキーとクロードの、力、素早さ、技術、頭脳、体力、精神がうまく分散されたレーダーチャートを比べると、それはいい具合に拮抗していた。しかしセガールはすべてに振り切っていた。反則だった。つよすぎた。銃火器もプロ。格闘技もプロ。ジャッキーやクロードが使用するのはおもに打撃であるが、そんなものセガールの柔術にかかれば蜘蛛の巣にかかった蝶。瞬殺。なによりセガールは精神も強い。ひまさえあれば禅を組んだり、滝に打たれたりしている。じゃ、弱点が…皆目、見受けられないだと!?

 

そうしてジャッキーは世界最強を冠することはなくなった。セガールのせいで。この長身のポニーテールのせいで、ジャッキーとクロードの戦いは幕をあけることなく閉じてしまった。ちなみにスタローンやシュワちゃんなんてのももちろんたくさん見たが、もう、ぜーんぜん、ジャッキーのほうが強い。

 

だから、俺のなかでジャッキーはアジア圏で最強のおとこ。そういうことにした。でもきっとこのユーラシア大陸でいちばん強い。とおもったが、いつだったか、エミリヤエンコヒョードルという怪物がロシアに爆誕していた…。でもあまり心配していない。全盛期のジャッキーならきっと勝てる。

 

単純な戦闘力ならやはり世界最強はセガールだろう。でも折れていない骨が無い、そんな人間なんてみたことありますか? それでも生きている精神力。そのアクション映画を作製する屈強な魂と、いつでも観衆を喜ばせようとするエンターテインメント性にかけては右に出るものはいないだろう。そのポイントでジャッキーはいつもでも俺の心の中で世界最強だ。

酔拳2(字幕版)

酔拳2(字幕版)