まだロックが好き

まだロックが好き

夢破れたサラリーマンがおめおめと生きている日記

31歳、父親、サラリーマン、腰痛持ちが聴いて泣ける音楽を日本の曲で11曲選んだ

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 とある作品の感想を述べるさい、もっともその作品が安っぽくなる感想が、「マジ泣ける」だと思う。なんというか、その一言で片付けようとしてしている惰弱な精神が浮き彫りになり、人間の生態において紅涙をしぼることが感情のピークである、というお気楽な発想のもとに、「泣ければよし」、「泣けるやつがサイコー!」みたいな感じが察せられてしまうのです。そんな世の中、マジ泣ける。

 

 でも私だって中学生だった時分、ハイスタンダードというバンドからパンクロックの洗礼を受け、一度は音楽の道を志した身代である。いまでも音楽を聴いて、マジ泣ける。そんな折、オニオン・ペタス様が書いている「道楽じみている」というブログにおいて以下の投稿がなされていた。

www.dorakujimi.com

 

 なんてこった! 俺もやりてぇ! と思ったので日記にしたためようと思った。私も基本的に「歌詞なんてどうでもいいわ」一派なのですが、時として耳を聾する言葉たちに、精神を逼迫させられることもありますね。というわけで、ぼくは毎日こんな曲を聴いて、マジ泣いているのです。

 

 

東京事変「私生活」

 俺がもし俳優で、泣きの芝居がひつようなときは、この曲を聴けばすぐ泣ける。酸素と海とガソリンと、たくさんの気遣いを無駄に浪費する毎日である。どこに向かっているかわからないマイライフのなかで、行き着く先は、というか、このすべてを投げ捨てて守るべきものは、あなたなのですよ、と言った解釈をしてしまい、マジ泣ける。世の中には得うるべき大事なものがたくさんある。それを見送ってでも俺は妻と息子といれば仕合せで、そのために生きているのだなぁと思う曲である。というか、この曲を聴いてこの記事を書こうとおもった。

 

 もともと椎名林檎という歌手が好きでよく聴いていたのだが、東京事変はギターとピアノがメンチェンしてからあまり聴かなくなっていた。ちなみに長岡亮介の才幹溢れる突飛なギターは、椎名林檎という偉大なボーカルでないと成立しない、と思っている。ぶっちゃけギターが目だってしまうので作曲家泣かせだと思う。それに負けないのは椎名林檎の圧倒的存在感の声のおかげではないだろうか。

娯楽(バラエティ)

娯楽(バラエティ)

 

エレファントカシマシ「友達がいるのさ」

 エレカシのベストはたくさんあるが、この曲が収録されていなくて憤慨していた。そしたらなんと、最近でた三十周年のものにはちゃんとこの曲が入っていた。重畳だ。俺はとくに最後の「なんてな」という歌詞がすげぇ! と思う。自身で放擲した前文の歌詞を自嘲するようで、自分の歌詞に「なにいってんだ」みたいな憫笑が含まれていて、ほんとロック。

 

 Salyuという歌手も言っていたが、歌の発声にはそのときの表情が乗る。ミスター顔芸チルドレンの桜井氏がよく眉間に皺を寄せてエモーショナルに歌い上げるが、とても意味のある行為なのです。歌には表情筋が大事、というのを体現しているのが、この友達がいるのさの歌詞、「なんてな」や「一笑、一蹴、へんしゅう、哀愁」である。続く「歩くのはいいぜ!」という咆哮もまた諧謔味があってよいし、なによりクライマックスについて上がっていくペンタトニックのリフも最高だ。

 

 ちなみに「風」というアルバムに入っているのだが、次曲に「人間てなんだ」という不可思議な曲がはいっていてエレカシレベルが高すぎるので、ベストで聴くのをおすすめする。

エレカシのRAINBOWって曲が思い出させてくれた衝動 - まだロックが好き

All Time Best Album  THE FIGHTING MAN(通常盤)

All Time Best Album THE FIGHTING MAN(通常盤)

 

andymori「投げKISSをあげるよ」

 俺は日本のロックバンドと呼ばれる存在は、アンディモリで終わった、とおもっている。ほかのバンドを蔑むわけではなく、アンディモリがすごすぎた。

 

 投げキッスをあげるよ、は革命というアルバムに収録されているのだが、まぁ歌詞がよい。小山田壮平という人は詩人だと思う。ロックの歌詞が詩であると芸術味を帯びてしまうのでちょっと鼻に付きますが、それでもこの曲はよい。この人の歌詞にはコーラという単語がよく出てくる。それが彼の日常なのだろう。その象徴をいれることによって、なにがあっても日常がおくれますよ、「大丈夫ですよ」と歌う。どんなことがあっても「心配ないですよ」と歌う。

 

 会社でミスっても大丈夫だよな、と、三十一歳寅年の男ははげまされる。マジ泣ける。ちなみに同アルバムに「楽園」という曲があるのだが、それも泣いてしまう。声を枯らして歌ったあの日の空の下で、俺はね、死ねるよって思うのさ。って俺が思ってたことジャン! つって。地味なアルバムだが、この二曲があるだけで俺のなかで泣けるアルバムとなっている。

革命

革命

 

BUMP OF CHICKEN「魔法の料理 ~君から君へ~

 親になって、この曲を聴き、滂沱たる涙を流さない人は、おそらくまだ自分が人生の主人公だと思っているのだろう。俺はそうではない、と思っている。子が生まれたら、俺のこの人生は俺のものであっても、この子が主人公だと思っている。俺は息子がやりたいことが出来るようにただ毎日を消費していくしかない。でもそれでもよい。そう思う曲である。子どもがいる人は須らく涙腺がゆるむとおもう。

 

 ぜんたい、この曲が収録されているコスモノートというアルバムはバンプ史上もっとも「攻めている」アルバムだと思う。変拍子の多用や、ポリリズムのアプローチ、そんなキャッチーなサビで代理コードなんて使う? ってな具合の音楽的知見がふんだんに盛り込まれていて、まじバンプなける。

COSMONAUT

COSMONAUT

 

The ピーズ「日が暮れても彼女と歩いてた」

 歌詞が文学的ならえらいのか? と思うことがあり、なんでもかんでも文学的だなんだと誉めそやすのが大嫌いだ。でもピーズのはるさんの歌詞は好きだ。文学的とか言われているけど、俺はそんな小賢しいイメージよりももっと音楽的だとおもってる。歌は文面で読むものではない。唇から放たれるものだ。ゆえに口語的であるべきだし、だからこそ音便化などがなされるべきだ。それを感覚的にやっているのがピーズではないか。

 

 夕日は人を感傷的にさせる。クレヨンしんちゃんのオトナ帝国でそんなセリフがあったが、ピーズの、日が暮れても彼女と歩いてた、にはそれがある。どんなクソみたいな終わっている人生にも日常的ななんでもない風景がある、それを思い出したときに、仕合せな気持ちになる。ちなみに私事だが、バンドをやっているとき妻が、ダメンズウォーカーという本を頂戴してきていた。おそろしくて書籍の紐を解いたことはないのだが、こんな堕落した俺にも君がいてやっとハッピー、なんて思う。気がふれても彼女と歩いてた。

とどめをハデにくれ

とどめをハデにくれ

 

フジファブリック「茜色の夕日」

 フジファブリックの名曲は「若者のすべて」かもしれない。でもやっぱり東京に上ってきた心にはこの曲がいつだって響いてしまうのです。まぁとにかく「東京の空の星は、見えないと聞かされていたけど、見えないこともないんだな」というのがマジヤバイ。マジヤバイという語録もマジヤバイですね。文脈が軽やかに馬鹿っぽくなります。そして「そんなことを思っていたんだ」という、歌詞を歌っている場所、そう思っている場所、を歌詞にして作り上げることによってノスタルジックな印象操作を行っている。マジヤバイ。

 

 フジファブリックはコードがえらく簡単なのに、えらい複雑に聴こえる。ひとつは志村のメロの取り方と、そのボーカリゼイションによるものだと思う。またこのバンドはギターとキーボードの音階的な、また音色的な邂逅が、その奇怪な音楽にたらしめているのだと思っている。志村が死んだあと、三人の残されたフジファブリックが出した「ECHO」もすごくよい。あとパフィーに提供した「Bye Bye」も視界が駄目になる。志村、生き返らないかな。

ドラゴンボールが集まったら志村正彦を生き返らせる - まだロックが好き

FAB FOX

FAB FOX

 

THE BACK HORN「ブラックホールバースデイ」

 この曲で泣けるのはおかしいですか。でも泣けるのです。俺はどうもメジャーキーと、そこに付随する「大丈夫だぜ」みたいな歌詞によわい。菅波栄純の作る曲は救いをもたせることが多い。このブラックホールバースデイもカオスティックな、かまびすしいイントロなのだけど、サビで一気にメジャーキーが炸裂する。ここにメシアの救済を感じる。また半テンというのはどうしてこうもドラマチックなのか。以前、セッションでアルカラというバンドの「キャッチーを科学する」という曲をやったことがあるのだが、その曲も最後に半テンがあり、喉の奥が熱くなった。

 

 バックホーンの「大丈夫」系ソングはけっこうある。すべてマジ泣ける。バックホーンぽくない、と巷間では呈されるシンメトリーという曲も「大丈夫」系ソングなのだが、俺はこの曲はとっても栄純っぽい曲だな、と思っている。なんていっても救いがある。作曲というのは暗い気持ちのときのほうが、明るい曲ができるものであって、作者の精神、それはなにをもとめているのか、がとても反映される。栄純が満たされた生活を送るのはよいことなのだが、暗澹たる腹をもって、もっと救いのある曲をつくってほしいな、と思う。

THE BACK HORNを聴いて咽び泣く三十路のあたし - まだロックが好き

太陽の中の生活

太陽の中の生活

 

中島みゆき「瞬きもせず」

 日本には現人神という概念があり、神が今生に人の御姿になってあらわれるのだが、中島みゆきはそのうちの一柱だと思っている。さまざまな名曲があるのでなんとも選びにくいのだが、私はやっぱりこの「瞬きもせず」に安寧の涙をながしてしまう。

 

 みゆき神の御心はどんな人間にも赦しを与えてくれる。人は何も持たない獣だと嘯きながら、それでもお前の好いところは知っているのだよ。と深い懐で包み込んでくれる。そんなささやかな人生を笑うひともおるだろう、平凡だ、無駄だ、と笑うだろうが、それでも好いじゃあないか。お前にはなにものにも換えがたい好いところがあるじゃないか。私がお前の人生をすべて首肯してあげるよ。私がそれを知っていれば好いじゃあないか。そんなことを言ってくれているようで、マジ、泣ける。

 

 ちなみに身内だけの結婚式のエンディング曲に、我々夫婦はこの曲を選んだ。妻もこの曲がいちばん好きだという。私たちふたりの人生を表しているようだ。いまでもこの選曲は、思い出すたび、すばらしいナイスチョイスだと思っている。

大銀幕

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FISHMANS「いかれたBABY」

 悲しい時に浮かぶのは、いつでも君の顔だったよ。こんなに俺の気持ちを代弁している曲は無い。むろんフィッシュマンズは歌詞のバンドではない。音のバンドだ。でもこのいかれたベイビーはその歌詞に打擲される。ふと、つらいときに帰り道に口の中でつぶやくのは、いつでもこの曲だったよ。つって。あいまいなキーボードの浮遊感が心地よくもあるし。

 

 フィッシュマンズはダブをやっていると雖も、アルバムによってけっこう幅が触れている印象がある、ゆえにベストが名盤かな、なんて思う。でもなんでフィッシュマンズがこんなに受けたのだろうか、という疑問もある。ダブというジャンルが目新しかったのか、しかしそれにしても佐藤の声は奇矯すぎるのではないだろうか。ダブバンドってゆったりとしたイメージがあるかもしれないが、その実、演奏の技量がすごい。これはスカパラにもいえるのだが、欣ちゃんさんの右利きなのにオープンハンドというのは曲調の包容力に大きく関係しているのではないだろうか、と思っている。ベースは修羅の如し。

空中 ベスト・オブ・フィッシュマンズ

空中 ベスト・オブ・フィッシュマンズ

 

GLAY「pure soul」

 グレイはすごい。バンドをやっている人は絶対に聴いたほうがよい。なぜならアレンジが凝っている。私も「なんだよ、グレイなんてジェーポップじゃねぇか」と思っていた愚者だったのだが、ふと北陸へのドライブで妻から聴かせられたベストを聴いて震駭した。めちゃくちゃ編曲が素晴らしかった。曲間のキメに再度として同じアレンジをしようしない。途轍もないメロディなのに二番のフェイクでそのメロを破壊する。音域が上がるわけでもない、音符の高低さがあるわけでもない、それなのに強いメロディを放つ。グレイには音楽的な素養と魔力がある。その日から俺はタクローを崇拝して、いまでは俺の背中には、でっかいタクローの肖像画が、鮮やかな色彩で彫られている。ってのは嘘ですが、尊敬しているのはマジ。

 

 そんな中、出合ったピュアソウルという曲が、月給取りに身を窶した俺の精神を打ちのめした。なに不自由のない暮らしだな。だけど満たされない。人生というのは消去法である。残った選択肢で生きていく。賽を振り、出ために従うのも、抗うのもけっきょくは自分の意志なのだな、と思う。なんとかうまくやれている日々に、沁みこむような歌詞だと思う。

DRIVE~GLAY complete BEST~

DRIVE~GLAY complete BEST~

 

竹原ピストル「例えばヒロ、お前がそうだったように」

 カモメだろう、ぐるぐるだろう、自殺志願者だろう、シーグラスだろう、カウント10だろう、ライブイン和歌山だろう、それこそオールドルーキーや、俺のアディダスだろう。竹原ピストルの吐き出す、綴りようのない、胸が迫る言葉たちは、どうしてこうも熱い体温を帯び、腹の底から感情が沸きあがるのだろうか。

 

 ピースアウトに収録されているものをよく聴くが、この曲はじつはけっこう前からある曲で、竹原ピストルの礎ともなっている、流れるような口頭陳述と、血管がはじけそうなほどの絶唱でなりたつ曲である。こういった曲が、やはり私は、竹原ピストルらしいな、と思う。前述の通り、名曲がたくさんあるのだが、久方ぶりにこの曲を聴いて脳天がくらくらした。ゆえにこの曲を羅列した。切迫してくる。

竹原ピストル「PEACE OUT」を聴いてやっぱ天才だなと驚嘆した - まだロックが好き

PEACE OUT (初回限定盤CD+DVD)

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総括

 企画を模倣してしまい慙愧に耐えない。貴様殿の人生にオリジナリティはないのか! とオニペタさんに叱咤されたら消します。

 

 ちなみにもっといろいろ入れたかった。イースタンユースは最近出た「ソンゲントジユウ」がクソ泣けた。ベースが代わってちゃんとフレットのあるものになったからか、ベースの音が硬くなりましたね。あとは、モーサムの「Have you ever seen the stars?」という曲が泣ける、っちゅうかFのメジャーセブンス、ナインスみたいなのに弱くてグレイプバインの「Everyman, everywhere」という曲にもやられてしまう。バインは「風待ち」がもっとも泣いたが。ってか、モーサムといったら、ちょっとまえに百々氏のソロで「ロックンロールイズネバーダイ」というのも泣けた。ピロウズは「ストレンジカメレオン」も俺の気持ちを代弁してくれているし、シロップ16gは多すぎて選べない。さいきんは、忘れらんねぇよという楽隊のファーストを聴き、「チャットモンチーを爆音で聴いて涙が溢れた」みたいな歌詞にいたく感銘を受けた。奥田民生の「カスタム」も切実に訴えてくるし、小谷美紗子の「うたき」というアルバムはずっと泣ける。斉藤和義も「歌うたいのバラッド」なんて歴史的名曲があって、書ききれなくて、ほんと、もう、マジ泣ける。