まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

エレカシの「Wake Up」に通底する 村山☆潤 感

 

 エレカシはバンドの素材の主張がつよいだけに、逆にその素材のつよさがプロデューサーによってありありと浮かんでしまうバンドだとおもう。たとえば、佐久間正英期であれば、男の優しげな哀感と寂寥がつよい、ミヤジのそういったポイントが色濃くでるような気がする。「ココロに花を」とか「町を見下ろす丘」とか。

 

 で蔦谷好位置期。「スターティングオーバー」から蔦谷氏がプロデューサーだったとおもうのだけれど、かなり整然としたとおもう。きれいになった。もちろんミヤジのすべてが活きている。ポップになり、曲に嫌味のない色彩が加わった。おれはこの蔦谷期がけっこう好き。

 

 それで、今回の「ウェイクアップ」は、とてつもなく村山☆潤だなーとおもった。このひとは前作「レインボウ」*1でプロデュースに携わったのだとおもうのだけれど、おれはこのひともかなり好き。つまりムラジュン連投で、エレカシ、村山☆潤期がきているのではないか! とおもったのです。

 

 ムラジュンのエレカシは、エレカシの荒荒しさがすげぇでてる。「なま」っぽいというか。とくに冒頭二曲が顕著だとおもう。「Wake Up」は曲の開闢するミヤジの声のポップ音で、これもう素材そのままだな! とおもう。唾とか飛沫してそう。

 

 レインボウというシングルのときもそうだったけれど、通奏低音に宇宙の塵のようなざわめいたディストーションがかかっていて、レンジが広いというか、パンの振りが大きくて、歪んだギターをさらにミックスの段階でゲインレベルを上げているかんじで、荒ぶれるエレカシの魂、生命力みたいなものが鳴っているような感覚をおこす。

 

 次曲の「Easy Go」もそんなかんじで、ってゆうか三十年以上やっているバンドが、ここにきて演奏の巧妙よりも、ただ一直線に「勢い」をえらんだ、というロックバンドとしての万古不易の真実みたいなものがある。ぜんたいの音のゲインレベルをあげてるので、ドラムとかベースとかギターとか、そういった個々の音ではなくて、ぜんぶ溶け合ったエレカシというバンドの音がしているような気がする。それがバンドってかんじするじゃん。歌い終わりの半音移動にミヤジ感がありますね。

 

エレファントカシマシ「Easy Go」Short ver. - YouTube


 合間にはいるギターのオブリも、予定していたフレーズというよりは、そのば限りの生のフレーズのようだとおもう。そもそもエレカシの、ってゆうかミヤジの猛々しく荒れ狂う魂を表現するなら、こういった音のつくりかたは吻合しているとおもう。

 

 もちろん、「風と共に」や「夢を追う旅人」みたいな、ミヤジが伸びやかに歌うと風が吹く、ジ・エレカシソングみたいなのもあって、すごく個々人のエレカシ値が充填されるアルバムだな、なんておもった。けれども「神様俺を」みたいな、意表をつく曲もあって、たいへんに舌を巻く。

 

「RESTART」ってちょっと初期っぽくないっすか? 重苦しいリフに、たんじゅんな構成の楽曲で、なんというか「グッドモーニング」に収録されていそうなミヤジ感があった。「i am hungry」とかもそう。なんか初期っぽい。

 

 そういった宮本浩次のありのままの楽曲がおおい気がした。「オレを生きる」とか「俺の道」に入ってそうだし。あと「自由」とか「いつもの顔で」とか「旅立ちの朝」とか、このひとにんげんの声帯がだせる音域を無視しすぎていてちょっと引く。

 

 エレカシの「素材そのままの荒荒しいかんじ」というのを意識したようなアルバムだとおもった。きっと村山☆潤というひとが企図したのだろう。おれはまえの「RAINBOW」という曲が大好きで、大地が轟くような衝撃に見舞われたのだけれど、そういった、エレカシのもつ、近づくものすべての胸倉をつかみかかってくるような獣性と生命力と情熱を前面にだすプロデューサーだなとおもいました。あとたぶんこのひとビートルズが好きっぽい。ちょっと天才。

Wake Up(初回限定盤)(DVD付)

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*1:アルバムのレインボウは編曲者が蔦谷好位置、亀田誠治、村山☆潤で、曲によってすごい差があるので、めっちゃ豪華で贅沢なアルバムだとおもう。