まだロックが好き

まだロックが好き

おめおめと生きている日記

運動会における人生の狂い

f:id:yuasayo1013:20181011151839j:image

※息子の自撮り

 

 天候ほど人生を狂わせるものはないにちがいない。というのも、頃日。拙息のかようこども園にて運動会が開催された。だが天気図を読み解くと、どうやら台風が接近している。人生に狂いが生じる。

 

 すなわち、予定表には雨天順延とかかれている。これはいかなることかというと、当日運動会が開催されなかった場合、翌日が運動会になり、さらにその日も悪天候であったばあい、またさらに翌日が運動会となる。このまま雨が続けば永遠に運動会がやってこず、仕事の調整もままならぬことになるのである。ってそんなわけあるかい。

 

 台風のストライクゾーンに心砕くもだがしかし、拙息のもちあわせた霊験あらたかなサンパワーによって、園の開催する運動会は予定通り開催されたのである。ちなみに「サンパワー」のサンには息子、太陽、のふたつの意味が込もっている。おぉ……。

 

 もちろん前日は沛然たる雨であった。園庭はズクズクにぬかるみ、迸る汗と涙にくわえて泥も混じる可能性が示唆されていたが、そんなにたいしたことなかった。

 

 ってゆうが逆に園庭が好い具合に湿っていたがため、吹きぬける風に塵埃が絡むこと少なく、またおれのアレルゲンである秋の花粉(ブタクサとかいうふざけたネーミングのやつ)も抑制されていたっぽいので、めっちゃラッキーだった。湿り気をおびた秋風がひんやりと心地よかった。

 

 お弁当をこさえて参った運動会。おれたちはほぼ一番乗りだったが、妻の体調の関係でうしろの席に陣取った。ってゆうか先生の許可を得て、アウトドアーの用のイスを設置させてもらったのである。

 

 あぁ、いいなぁ運動会。こういうのいいよ。素敵だよ。なんておもっていたところ、やはり人生油断は禁物。あとからやってきた夫婦とおぼしき二人組みの男女が、われわれの前に陣取り、あろうことか三脚を設置せしめ、ビデオカメラをまわしはじめたのである。

 

 まじかー。まぁ愛すべき係累のがんばる姿を見たい、撮影したい、そういう気持ちは超わかる。だがおれたち一家が気くばり、目くばり、心くばりをしてみんながノーストレスで観することができるようにと、時間に余裕をもって一番乗りしたにも関わらず、こうして後ろの席でイスを設置させてもたった都合上、申し訳なさというか後ろ暗いおもいで小さくなっているのに、己の欲求にのみ従い、背後の観覧者を微塵も憂うことなくして利己的な観覧をするだなんて、それはどういうことですか? あたまおかしいんじゃないですか? 信賞必罰。死んで地獄におちろよ、なんて瞋恚の焔があがったのである。

 

 こういうときの対処法として、相手に「この世はあなただけのものではない」と説諭する手段がある。だが、なかなかどうしておれたちはそういうことができない。無駄な軋轢を生じさせたくないし、かくなるように人の気持ちを察することなく生きてきたという浅ましい人生観が透けて見える行動によって、すごく頭のおかしなひとってゆうのはマストで「じゃあどうすればいいんですかー」みたいな、逆ギレ? みたいになったらマジでやばい。いつバタフライナイフが飛び出してくるのかわかったもんじゃない。死にたくねぇよ。

 

 できれば自分の過ちにみずから気がついてほしい。そうおもったおれたちは「あたかもふたりで話しているように見せかけて、なんとなくその愚昧な行動を指摘する」作戦のため、ひとつ小芝居をうつことにしたのである。

 

「あー三脚はいっちゃうなー」「え、ようた映る?」「うーんぎりぎりいいとこに三脚があるなー」「えー(ちょっと大きい声)」みたいな。

 

 これは、こちらも動画を撮っているんですが、その画角にあなたが傍若無人にも設置した三脚がフレームインしてしまい、大切な思い出に三脚。小田和正の「言葉にできない」にのっかって流れてくる映像に三脚。それって言葉にできちゃう。つまりかなしい。っていうのが筆者の言いたいことである。

 

 その後も「ってゆうか三脚って立てていいの?」「みんな後ろには立ててるけど」「ほかの人はあんな真ん中で立ててないね」「特別な許可を役所に申請したんじゃない?」「ってゆうか業者なのかも」みたいなことを言い続け、結果、彼らはみずからの過ちに気付いたようで、おずおずと三脚を片しはじめたのである。

 

 おれたちは勝利した。幾重にもたたみかける人生の狂いに打ち勝ったのである。さらに彼らはいたたまれなくなったのか、その場からしずしずと退却したので、われわれはシートの上で足を伸ばせることができ、快適な空間が生まれたのである。

 

 あぁこれでよかった。悪は滅びるのだ。とおもっていると、さらに前方には七十ちかい中折れ帽をかむった老翁。かれが運動会が熱狂の渦に巻かれるたび、ひざ立ちになり、われわれの視界を防ぎながら「みくちゃぁーん!! こっちだよぉーー!!」と叫ぶのである。はは、まいった。人生が狂った。

 

今週のお題「運動会」